2024.3月9日富谷塾のJ-StarX派遣のシリコンバレー研修発表報告会 発表予定内容は以下。
12月3~10日のJ-StarX派遣のシリコンバレー研修の個人的な学びを”Be Yourself”の気持ちで備忘録的に記録したもの。
仙台→市ヶ谷 問いカフェ DNP × 武蔵野美術大学
Haneda Airport - San Francisco
Stanford University
サンフランシスコ入国審査約2時間待ち。シリコンバレーを生んだともいえるスタンフォード大学が最初の訪問地。スペインコロニアル様式という文化融合的な伝統を感じさせる本館、フーバータワーなど、真摯な議論、自由な発想、産学連携の聖地であるキャンパスの雰囲気を味わう。
哲学・人文学を含む学際融合にきちんと取り組んでさまざまなものを生み出してきたd.schoolの前にも連れて行ってもらえる。
奨学金はあるにせよ授業料年間700万円の私立大学、白人よりアジア人の方が多いとのこと。
イスラエル側、ガザ側双方の反戦・停戦意思表示のテントが向かい合っていたり、講演や音楽などさまざまなチラシが張られている掲示板がいくつかあったり、学生活動の元気さの一端も感じさせられた。
学内書店では、哲学の棚は1列、社会学は3列とひっそり。工学系・デザイン系はとても多くて、d.school デザイン思考的な本はかなり売り込んでいるようで、扱いも大きく流行の発信地? 「所属」という居場所づくり的テーマのd.school教科書の1冊”Design For Belonging”を購入したが読むのだろうか?
RakuNest
Pitch Mentoring
高校卒業後進学せずプロスキーヤーめざされ、その後NY大学MBAなどいろいろ考えて人生を歩まれてきたshoさんの自己紹介にとても刺激を受けた一日の始まり。24人の研修仲間の発表。個人的には、美術家・キュレータ支援、研究支援、障がい者旅行同行、スキマ時間による助け合いマッチングなどを考えておられる4名が分野的に近いかなと感じた。脂質ゼロと和菓子、お茶(富谷茶)、事業承継支援、コンサート支援、情報発信の応援、Slack/teamsで使えるパーソナルアシスタント開発、融雪発電など、さまざまなアイデアがそれぞれでおもしろい。また、受講者の経歴もなかなかユニーク。
メンタリングでは、事前に提出したシートを読んでもらっていてCultivaseという問いを作る会社、Diversity&Inclusionなどへの取り組みにのった訴求などをしていく、学び・ヘッドコントロールとしてのオンライン提供Udemyなど参考にすればよいという具体的な提案をいただいた。いっしょに行った富谷塾生も、身を乗り出してプレゼン&メンタリング。
その後、サンフランシスコのダウンタウンで、岩田康弘さんの日本の総菜、おにぎりなどを、日本の味のまま提供するお店、和紙などを使った柔らかく幅の広いmade in Portugalの靴のアンテナショップなどでお話をお伺いする。ZenMeditationセンターにもひとりで足を運び、ご厚意で中を少しだけ見せていただく(畳敷きの仏殿、観音様像など)。案内してくれた方、道元や法然の名前は知っていたので、ちょっと驚き。
【印象に残ったこと】
・「アメリカ人は自分の人生は自分でコントロールしたい」「背広姿は金融機関ぐらいしか見ない」「カリフォルニアは、オースティンなどとともにヒッピー文化の名残がある」。
・アメリカの小学校では九九は学ばないかもしれない。暗算、記憶には重きをおかないが、プレゼンの練習は小1からする。
・岩田さんの、TOEIC300点でのアメリカ生活、ひじきなど最初はウケが悪かったけどだしの味など自分がおいしいと思うものは出し続けた話。
・自分がいいと思うんだったら考えてやっていくとよい、1週間でここまでやると決めてやるみたいなスモールステップがよい、という長期目標と短期目標の割り切り方。何をお客さんに訴求したいのか、を考えて、実施して、検証していく考え方。
Rakuten USA
Revvo DNX
今日は英語のプログラムも多く、吸収できませんでした。
楽天USAの社内見学おもしろかったです。
Palo alto, Sunnyvale, San Jose
(1段目)Apple Visitor Center
(2・3段目)Google Visitor Center 哲学と現代アート+知の大衆化、教育による社会貢献など文化を感じることができた。
ここでもbelonging の言葉が出てきて、社会課題のひとつになっているのかなと感じました。
(3段目右)Intel前で通訳・バスガイド上野畑さんと
(4段目)Intel前 PaloAltショッピングセンター コーヒー屋xbloom SanMateo 天気予報
Googleは1995年、Appleの創業は1976年、Intelは1968年、ヒューレットとパッカードの出会いは1934年(ガレージ起業は1938年)100年もたたない間に半導体・コンピュータが世界をこんなに変えるなんて、みたいな歴史を感じた一日。
500 Global
UC Berkeley
500global Startup養成機関 現地の方のピッチも聞けて良かった。一緒に行った仲間からは6名が英語で発表。
UCバークレー校 日本人留学生の方3名とお話ができて、とてもいい経験ができた。成長とは何か、GNPに代わる指標の検討なども学んでいるそう。脱資本主義的な発想でNPOの道へ行く方もいる。留学生の2名は気候変動に挑戦したい、academicと社会実装系は院に入る段階から異なる道など。大学が卒業生の生涯賃金で測られる時代、キャリアメンター料をとり1か月に一度メンタリングをしてくれるなどのお話があった。高額な学費で、借金を抱えて卒業するので、アメリカに残らざるを得ない学生も多い。ハーバード大などは時間にもうるさく遅刻が記録されるそうだが、バークレーはもうすこしゆるやかで、授業も定刻から10分遅れて始まるそう(バークレータイム)。スタンフォードの人の方が世界を変えてやる、みたいな校風があるとのこと。
夕方はバークレーの旧市街へ。自由行動時間にイスラム系の書店でco-existenceのリーフレットを購入。日本食に合うサンフランシスコのワイン醸造・直売所で、ワインによる地域おこしの実例を学ぶ。
帰りのバスの雑談では、「大谷君の話題はアメリカではあまり報道されていない。そもそも野球がマイナースポーツ。日本のニュースソースばかり見ていると世界の常識ではなくなる」みたいな話も聞けた。
RakuNest
成果発表会
最終日のメンタリングセッションでも、大変おもしろい情報が得られた。
ただ、ビジネス化はとても難しいというコメントもいただいた。
(お知り合いで哲学を事業化している会社)
哲学ラボ https://philosophy-lab.com/
WOV株式会社 https://wov.academy/about/
Daishi Matsukura https://daishimatsukura.com/
Philosophy Technologies https://www.linkedin.com/company/philosophy-technologies/about/
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(参考)
森下曜子 https://newspicks.com/news/9263149/
効率的利他主義”Effective Altruism” (略してe/a) (参照:Center for Effective Altruism)
効率的加速主義”Effective Accelerationism”(略してe/acc)
歴史上起きてきた技術のブレークスルーはe/aとe/accの絶妙なバランスの中で実現しており、実は奇跡に等しいことなのではないか / 知、テクノロジー、人、お金、会社、政府など全てが連携してこそ成し遂げられる社会変革とはどのようにして起こっていくのか ……。
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(検索で出てきた関連)現代哲学ラボ https://philosophy-zoo.com/genlabo
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別の方からは、アメリカの公立小学校は週2日の親が学校でボランティアで授業にかかわることを必須にしている、会社もボランティア休暇取得義務がある、ボランティアは何かのためにするものではない、というような話を聞けました。
最終発表で参加者が2分ピッチをし、富谷市から本多さん、佐藤さんが「USに来てほしい賞2・3位」を獲得された。すごいですね!
その後懇親会。12月生まれの3名は、お誕生日ケーキを準備してくださいました。現地日本人スタッフの方ともお話でき、人と交渉する際に政治的立場や宗教などを事前に調べて話題にすることを考えるとか、訴訟社会も少数者の権利を主張されるには有効な面もあるとか、日本の大企業の意志決定の遅さ・実証実験の効果の測り方(3か月の効果をどう見るか)などのお話が印象に残りました。
AIは言語を座標上に置いてその「距離」を測っている、いまは生成AI系に優秀な人が集まる(以前は理論物理学なども人気だった)など理系っぽい話もお伺いすることができました。
(感想)
シリコンバレーは、スタンフォード大学がヒューレットパッカードを生んだことから始まるように、人間の好奇心・知をエネルギーにビジネスが生み出されてきた、ということは肌で感じられました。自由な発想+産学連携がとてつもない人類の進化、豊かさを世界に広めOneWorld化、莫大な富を生んだ、という事実……。
優秀な人が集まっているシリコンバレーで刺激はありました。ただ、失敗は大切と言いながら、過去の成功の後追いをしている感じも少しして、人間の好奇心・知は多様で、まったく別の場所で何か新しいものが生まれる可能性はないのか、などという夢想もしました。
日本の大学が、すべてシリコンバレー成功モデルに右にならえ、されることがないようになるといいな、とも感じました。実際に内閣府・経産省主導で、知の発展にとってはあまり望ましいとも思えない高等教育政策が行われているので、危機感を感じています。第2のシリコンバレーを生みたいならば何をするとよいのか、考えてみたいところです。
San Francisco - Haneda Airport
最終日朝チェックイン前に、近くのTraderJoe'sというスーパーへ。写真(左)の左側がホテル右側の茶色の建物が6日間お世話になった楽天のUSAビル。バスガイドしてくれた上野畑さんは父親が猛烈商社マンでとてもあそこまで働けないと思って37年前に留学生のお世話から初めて通訳になったとのこと。シリコンバレーの発展とともに歩まれた方のようでおもしろい方だった。最後は空港で高いハンバーガを食べて、SFOからHNDへ。
教育研修プログラムとして、多様な内容を含み、大変有益であった。お世話になった参加者の皆さま、楽天USA、デロイトトーマツ、JTB、スタートアップ都市協議会、富谷市、経済産業省に厚く御礼申しあげたいと思います。
※本研修は、J-StarX地域起業家一般コース コホート2 として派遣されました。
【最終日に発表したこと】
私が大切にしたいものは、無形の文化的・精神的なもの、取りこぼされるものだとあらためて感じた。
*経済的な著作権が発生するものとはすこし異なる。
豊かな人が日本食を味わう、コーヒーを味わう、ワインを味わうためにお金を使っておられるように、
1)てつがく(それぞれの人がもっている考え方や価値観)を味わう
2)人文学・リベラルアーツを味わう
3)福祉のこころ・弱者を助ける気持ちを味わう
1)~3)を味わう豊かな経験を経済的に豊かな人に販売してはどうか。
【印象に残ったこと】
バークレーの日本人留学生から「脱資本主義」「気候変動に挑戦したいがビジネスでは難しいかもしれない」、tierⅣの方から「文化への敬意を自分はもっているが、そういう人は多くはない」「常識を疑う発想は持ち続けている」という言葉が聞けたこと、いろいろな方と「事業や研究の失敗」「日本の上層部の課題」みたいな話ができたこと、毎月5万円のコーチングを受けている方がいたこと。
活躍されている方と話すのはとても楽しかった。
今回食費はじめ物価高+円安を痛感、若い方でアメリカなどで稼げる方はそうした方が得という感じもした。
シリコンバレーで活躍されている方の多くに新しい社会をつくろうと志向されている意気込みは感じた。
同じく自分も、残りの人生、いまの社会とは違うオルタナティブを志向していきたいとあらためて思った。
帰国後1月20日時点のてつがく・人文学の社会実装・起業案です