私的BookGuide

本を通した自己表現 テーマ1 めざすは意味?無意味?無価値?                  古藤隆浩(居場所妄想会)

 

【TOMI+ 展示書籍】展示期間:5/246/8

1)『無意味のススメ~〈意味〉に疲れたら、〈無意味〉で休もう』川崎昌平 春秋社

  (紹介)意味は私たちの生活を疲れさせる。意味がないことをしてみよう! 降りる予定のない駅で降りる。目的   

をもたずに店に行く。意味の通らない言葉をつぶやく。無意味との出会いを楽しんでみよう、という気持ちに。

 

2)『ご自由にお持ちくださいを見つけるまで家に帰れない一日』パリッコ・スズキナオ スタンド・ブックス

  (紹介)表題をはじめ「桜上水で桜色をさがす」「定番なのに食べずに生きてきた素通り食品を食べる」「冷やし中  

華ならぬ冷やしアメリカを考える」「小瓶スパイスを振りかけるだけの料理」などをしてみたエッセイ。

 

3)『狂気な倫理―「愚か」で「不可解」で「無価値」とされる生の肯定』小西真理子・河原梓水編著 晃洋書房

 (紹介)「愚か」で「不可解」で「無価値」な生って、あこがれませんか? 自分の子どもに薦められるか?

 

4)『何もしない』ジェニー・オデル 早川書房

 (紹介)生産性・効率性の向上、他人の評価を得ることに「注意」が向けられている社会と個人のあり方を意識する。

    SNSをはじめ注意を向けないでボイコットするだけではない姿は? 何も達成しない生のあり方は?

 

5)『孤独と居場所の社会学~なんでもない”わたし”で生きるには』阿比留久美 大和書房

 (紹介)「将来の夢は何?」と言われて困ってしまうなど、それぞれの実感にあった小さな居場所づくり。

   「教育と能力主義を考える」「居場所のなさを生み出す社会を考える」など。巻末の参考図書もよいです。

 

6)『ただしさに殺されないために~声なき者への社会論』御田寺圭 大和書房

 (紹介)能力のある人、美しい人が「能力主義批判」「ルッキズム批判」「人間の価値は内面にある」を「道徳的な正しさ」のために口にする。「こどおじ」~不潔でちゃんとした暮らしができない人とかかわりたくない社会。

 

7)『はかれないものをはかる』工藤あゆみ 青幻舎

 (紹介)あなたの励ましの効力をはかる 夢におじゃましてよい時間を計る 言うのと言わないのの差をはかる、

    ~~測定されずに忘れられているものを思い起こさせられます。

 

8)『カフェから時代はつくられる』飯田美樹 クルミド出版

 (紹介)パリのカフェのおしゃべりから芸術運動や社会変革が始まった。人と場の絶妙な相互作用をどうつくるか。

 

9)『個人主義の運命』作田啓一 岩波新書

 (紹介)外側からの強制がない場合、他人の欲望・願いを模倣するしかない人間~「推し活」にもつながる評論。

 

10)『MEANINGFUL CITY MAGAZINE Vol.1 COMMUNITY

 (紹介)コミュニティは生まれた瞬間に壁を持つ(「喫茶ランドリー」店主)ことへの自戒は忘れたくないです。

   人間=「目の前の他者に受け入れられてはじめて、自分の存在を肯定できる」。排除分断を生まない意味は?

 

11)『学習する組織』ピーター・M・センゲ 英治出版

 (紹介)心からめざしたいもの(ビジョン)、世界をどう理解するか(メンタルモデル)を意識しながら学習する組織 をつくる。  

 

 

12)『TURNS 地域を幸せにするビジネスのつくり方』         

 

(紹介)お金をどう動かして地域に必要なものをつくれるか。お金のまわし方、ビジネスの視点も大切。

本を通した自己表現 テーマ2 アンチでネガティブを忘れない           古藤隆浩(居場所妄想会)

             ~ポジティブの方がいいけど、アンチでネガティブな世界も捨てられない私~

【展示書籍】展示期間:6/86/24

1)『ワンダーウォール』 澤寛 脚本 渡辺あや 誠光社

(紹介)希望と自由を奪われそうな学生の物語。この映画の、学生部のカウンターに壁ができた日の諦めのワンシーンと、本書の渡辺あやさんの「壁は超える価値があるものだ。今日は向こう側の人たちとも、きっといつかこの話を語り合える日が来るのだろう」という言葉は忘れられません。

 

2)『エルピス~希望、あるいは災い』脚本 渡辺あや 河出書房新社

 (紹介)20221012月長澤まさみ主演ドラマ。冤罪の真犯人を取材報道しようとする正義、つぶす側の正義。忖度せず「正しいことをする」「自分の仕事をちゃんとやりたいだけ」が絶望せず希望をもつセリフ。

   渡辺あやさんだけではなく、プロデューサーの佐野亜裕美さんのことも好きになりました。

 

3)『それでも女をやっていく』ひらりさ ワニブックス

 (紹介)才色兼備ではない女性のコンプレックス、恋愛こじらせなどが描かれていて共感します。

4)『We Act!2 自分ごとのストーリー』

 (紹介)p.8「相手の料理を作らずに済むようになった」、p.14「自分を縛っていたジェンダー観との別れ」、p.81「集団行動と女性が苦手」など、固定観念にアンチを申して、のびのびと生きるために。

 

5)『モテないけど生きてます 苦悩する男たちの当事者研究』ぼくらの非モテ研究会編著 青弓社

 (紹介)「モテない」という自身の体験、弱さや内面を言葉にする、弱者男性の当事者運動非モテ研究会。

   モテなくっても大丈夫みたいなノリよりはやや暗め。モテない男としては興味深い活動。

6)『飲まない生き方~ソバーキュリアス』ルビー・ウォリントン 永井二菜訳 方丈社

 (紹介)お酒が好きな人でもお酒を断てば、明鏡止水の境地に? 「あえて~しない」という暮らし・生き方。

 

7)『優秀なる羊たち~米国エリート教育の失敗に学ぶ』ウイリアム・デレズウイッツ 米山裕子訳 三省堂

 (紹介)人物本位なアメリカのエリート大学は「課外活動や社会貢献を奨励」「リーダーに褒美」~大人のつくったゲームに参加しない者には罰を与える。「負け犬」にならないようにと家族や学生を不安にさせたり、「理想」という言葉を使用禁止にしたり。「投資収益率」で測られる大学や社会へのアンチ満載。

 

8)『道徳教育はホントに道徳的か? 「生きづらさ」の背景を語る』松下良平 日本図書センター

 (紹介)ルールや規範を守る、他人に迷惑をかけない、あいさつ・思いやり~~小学校道徳をアンチに問い直す。

9)『日常に侵入する自己啓発』 牧野智和 勁草書房         

(紹介)「自己啓発」は、どういう世界観を表しているのか。リスキリングをネガティブに見てみるのにも最適。

 

10)『私たちの“感情”や“欲望”は、いかに資本主義に偽造されてるか?』フレドリック・ロルドン 作品社

 (紹介)難しくてほとんど読めてないですが、タイトルがいい!  社会や他者に影響されていない感情や欲望はないとは思いますが、新しい資本主義は巧妙に私たちの道徳・価値・欲望を操作しているとは感じます。

11)『エトセトラ7 くぐりぬけて見つけた場所』エトセトラブックス

 (紹介)「政治的な手芸部」「皿を割るため女は集う」「場としてのZINE」「あなたが見つけた居場所」など。


 

12)『クリエイティブであれ~新しい文化産業とジェンダー』アンジェラ・マクロビー 花伝社

 

 (紹介)ビジネスの創業が刺激的な未来への希望、リスク階級となり「機会はここ、すぐに行動を起こし、ケーキを焼けると証明しなさい」との奨励、つながりの確保などについて、さまざまな見方を提示。起業者必読。

本を通した自己表現 テーマ3 わたしはあなたのあなた/わたしはわたし    古藤隆浩(居場所妄想会)

             

【展示書籍】展示期間:6/2430

1)『愛について~アイデンティティと欲望の政治学』 竹村和子 岩波書店

(紹介)「個別的な物語は集合的な物語を必要とする」「集合的な物語は個別的な物語をとおしてのみ存在する」で始まる。「ないことにされてしまう」ことへの愛。オンライン読書会に参加してゆっくり深読み中。

 

2)『無意識の病理学~クラインとラカン』 新宮一成 金剛出版

 (紹介)p.170「言語の働きの中で、私は自己を生あるものと定める」~生も関係も言語に規定されちゃう!?

 

3)『エンパワメントを身にまとう』 西川千花子 シーソー (Zine

 (紹介)小さな声の上げ方 そのときの自分の心が壊れないやり方で。他者の言葉が自分の言葉になっていく。

 

4)『孤独と不安のレッスン~よりよい人生を送るために』 鴻上尚史 大和書房

 (紹介)「ひとりはみじめ」と思わなくてよいために。

 

5)『コミュニケーション不全症候群』 中島梓 筑摩書房

 (紹介)おだやかなぬくもりではなく、もっと勇敢に、もっと目障りに、もっとアナーキーになりたい。

   永遠の子供~社会の秩序側に立ち、それを維持するためのはたらきに加担しない。成熟しない。

 

6)『世界と私のAtoZ』 竹田ダニエル 講談社

 (紹介)2000年台に生まれた若者の人間関係の持ち方や価値観。つながりの多さ、社会意識の高さ。

 

7)『おや ときどき こども』 鳥羽和久 ナナクロ社

 (紹介)子どもに「目標を持ちなさい」とせまり、「うちの子は私がなんときゃしなきゃ」の親を脱却するために。

 

8)『困難な結婚』 内田 樹 アルテス

 (紹介)結婚生活を愛情と理解の上に築いてはならない。理解も共感もない他者と生活をやっていくのが結婚!

9)『愛という名の支配』 田嶋陽子 新潮文庫         

(紹介)恋愛が存続させた結婚という搾取システム。女性が再生産する女性差別。フェミ=自分のための闘い。

 

10)『違和感IWAKAN 特集:愛情』20213月 作品社

 (紹介)クイアの愛。推しの愛。性の役割を脱がせる愛の対話。愛情/服従。離婚回顧録。愛の多くの顔。…

 

11)『高丘親王航海記』 澁澤龍彦 文春文庫

 (紹介)天竺へ旅する僧と3名の連れ。道中さまざまなものとの出会い。父の妾藤原薬子に愛された記憶。

    トラに食われる最期。妄想の世界と現実の関係が入り混じる澁澤龍彦の遺作です。

 

12)『pink』岡崎京子 MAG COMICS

 (紹介)ワニを飼うこわれてしまった女の子。「すべての仕事は売春である」「愛でもある」~あとがき必読。

 

13)『わたしとあなた』me and you 

 

 (紹介) p.366-367 「わたしとあなたで対話」「自分を尊重、他者の個も尊重」「途中、過程、迷い、複雑さ、曖昧さの肯定」「問い直し、結び直していく」「心を死なせず、手を取り、支え合い、社会で生き延びる」…。